■ 誰の困りごとか
地方で複数事業を経営し、地域に雇用を生み出している中小企業経営者の困りごとです。
■ どこでの困りごとか
福岡や鹿児島のような地方都市をはじめ、全国の地方中小企業で起きている構造的な課題です。
■ どんな困りごとか
スキルのある人がいないことではなく、「任せられる責任者」と出会えず、採用が成長投資ではなく高リスクな賭けになっていることです。

課題説明


地方の中小企業は、日本経済と地域社会を支える基盤です。しかし多くの企業が「任せられる責任者」の不在により、成長機会を逃しています。人がいないのではなく、信頼を前提に任せられる関係性を構築する仕組みが存在していないのです。

既存の採用サービスは、都市部や大企業を前提に設計されています。応募数の最大化や短期成約を最適化するモデルでは、地方中小企業が求める「定着」「責任の引き受け」「経営代替性」は担保できません。

本課題では、地方中小企業における責任者採用を、賭けではなく確認済みの意思決定へと変える新しい採用インフラを共創します。
地域経済を前進させるマネジメント循環モデルを、ともに構築できる起業家を求めています。


奥大輔 さんプロフィール

福岡(博多)・鹿児島を拠点に複数事業を経営する実業家。
障害福祉分野では、就労継続支援A型・B型、多機能型事業所、放課後等デイサービスなどを運営し、地域に根差した支援体制を構築。福祉事業の現場運営と組織マネジメントの両立を実践している。
一方で、Web制作・デザイン・広告運用などのクリエイティブ領域の事業会社も並行して経営。福祉とクリエイティブという異なる分野を横断しながら、事業立ち上げと組織拡張を続けている。
現場実務だけでなく、複数拠点・複数事業の統括という経営視点を持つ実践者として、地方中小企業におけるマネジメント人材不足の構造的課題に日々直面している。

奥大輔 さんインタビュー


いま最も欲しいのは「スキル」ではなく「任せられる人」

── 今一番欲しい人材はどういう方ですか?

地方の中小企業は、どうしても中途社員がほとんどになります。だから「同じ会社で積み上がった経験」が社内に少ないんです。

そういう状況で、ある程度の規模の企業で中長期的にマネジメントしてきた人がいると、会社が安定するなと強く感じています。そういう人材を一番探しています。

── 職種でいうと、どの領域になりますか?

管理職全般ですね。たとえば財務経理のようなバックオフィスの責任者レイヤーも含みます。何か一部門というより、「任せられる」「マネジメントできる」人が欲しいです。

実際に採用できているのは「60歳以上」と「紹介」

── 今、採用できているパターンはありますか?

結果的にですが、定年などを迎えた60歳以上の方が、少し会社を手伝ってくれるところから入って、活躍していただいているケースが多いです。

── その方々とは、どうやって出会ったのですか?

紹介ですね。経営者の知人ネットワークが大きいです。

── 紹介をお願いするとき、どう伝えていますか?

「こういう経験がある人」というように、経験要件をなるべく明確に伝えます。たとえば、「ある程度の規模感の企業で管理職をやっていた人」とか。

── 紹介で面接して、採用に至る確率はどれくらいですか?

感覚ですが、3分の1くらいです。そもそも知り合いが「こういう人がいて、転職を検討している」みたいなタイミングでお話を聞くので、会いやすい感じはありますね。

── 紹介だと、なぜ会いやすいのでしょうか?

「辞める予定がある」「定年が決まっている」といったタイミングの情報が入るからです。早い人は半年前とか一年前から決まっていることもあります。定年の場合は特にそうですね。

オンラインのマッチングは安いが、採用を繰り返す感覚になりやすい

── オンラインのマッチングサービスは使ったことがありますか?

あります。採用成立時に1人あたり15万〜30万円くらいでした。

── 定着はどうでしたか?

離職は起きますね。採用を繰り返す感覚になります。3年くらいまでは続く人もいましたけど、2年、早い人は1年という方もあります。そしたらまた同じサービスを使って……の繰り返しです。

── なぜ定着しにくいと思いますか?

オンライン型はセルフサービスで、プラットフォーム側の手入れが少ない分、結果がばらつきやすいのかなと思います。セルフサービスなのでプラットフォーム側はそんなに手を入れなくていい、その代わり安い。そこのサービスの特性かなという感じはありますね。

ただオンライン型のサービスでは、都心部や地方の有名企業に応募者が偏りやすいので、地方の中小企業にとって利用しにくいと感じています。求職者から見ると第一希望にはなりにくいので。

エージェント費用を払うのは、経営者が追い込まれたとき

── 採用コストは、どれくらいまで払う感覚ですか?

本年収の30%くらいをベースで考えています。ただ、これは成長のための投資というより、必要不可欠な人が辞めて事業継続に支障が出る危機的状況での支出ですね。

有料の転職エージェントだと、それなりの人材じゃないとお金を払う側としては採用しづらい。企業側も、値段が高いのに誰でも紹介してくるとは思われたくない。

一番良かったのは「副業からフルタイムへ」

── これまでで一番良かった採用モデルは?

副業で関わっていた人が、その後フルタイムになるパターンです。

── なぜ良いのでしょうか?

相互理解があるからです。仕事の進め方、判断スピード、価値観、現場との相性——これらが事前に確認できています。ミスマッチが圧倒的に少ないです。

この時点で、採用は博打ではなく、確認済みの意思決定に変わります。

「レンタル移籍から完全移籍」

── どんな人材マッチングがあると良いと感じますか。

例えば、サッカーでいうレンタル移籍ですね。レンタル移籍して、その間ですごくマッチしたら完全移籍、という感じです。お互いの価値観や仕事へのミスマッチが少なくなり、お互い納得感を持った形で入社できるからです。

ただ、それがどうやったら人材の世界で使えるのかっていうのは、ちょっと難しいところはありますけどね。

── 同じような形で紹介予定派遣があります。利用されたことありますか?

数は少ないですけど、あります。ただ、派遣会社自体がビジネスとして成立しづらくて、紹介予定派遣自体だいぶ減ったという印象です。有料紹介だけにシフトしているところが多いような気がします。

それに、今回求められている幹部候補みたいなところでいうと、紹介予定派遣で扱っている職種とは若干ギャップがある気がします。派遣は、資格とか専門性がある部分と、人手不足の仕事のどちらかが多いのかなと。

副業プラットフォームへの率直な懸念

── 副業マッチングサービスはなぜ使っていないのですか?

認識はしていますが、使っていないです。そういうプラットフォームを利用する方には、使いグセみたいなのが皆さんできちゃうから離職率が高くなる印象です。

「もっといいとこ、もっといいとこ」ってなると、うちに定着する可能性が低いのかなというふうに思っています。それは普通のマッチングプラットフォームでもそうかなと。

採用できないときは外注で埋めるが、限界がある

── 採用が難しいとき、業務はどう回していますか?

外注できるところは外注します。外注したら済むことはなるべく外注するように普段心がけておけば、少し余裕がある状況を作れます。

── 幹部含め業務委託中心で組織を作るという選択肢もあると思いますが、なぜ採用にこだわるのですか?

緩やかな成長を各会社でさせていきたいという中で、メイン業務となる営業だったり、制作だったり、障害福祉事業なら支援——そこの部分はとにかく内製していかないといけないと思っています。

それ以外の部分は委託していくことを常々検討していって、会社の中では一番メインのところだけしっかりしていく。そうしないと、やっぱり人手が不足していく世の中なので、全てをどんどんやっていくのはなかなか難しいんじゃないかなと思います。

地方と東京の違い——モチベーション人材の母数

── 地方と東京で会社経営している中で、地方にはどのような採用のしにくさを感じますか?

やはり、管理職候補になりうる人が少ないです。男性、女性問わず、そこまで給料を求めている人は少ないような印象があって。

給料よりも、休みが多いとか、ちょっと仕事が楽だっていう人の方が多くなりがちです。そうなると組織自体が「なるべくいろんなことしない方が楽だよね」っていう雰囲気になっていくので、やはりモチベーションが高いとか、やる気がある人材を探すっていうのはすごく難しいという感覚はします。

── なぜ候補が少ないと思いますか?

率が少ないというか……地方から東京に出てくる、もしくは福岡に出てくる、大阪に出てくる、それなりのモチベーションだったりとか好奇心とか、そういうものがある人が多くて。地方に残った人っていうのは、どちらかというとそうじゃないタイプの人が多くなっちゃうのかなっていうのが、なんとなくですけど、以前から感じることではあります。

マネジメント人材がいると会社はどう変わるか

── 任せられるマネジメント人材が入ってくると、会社はどう変わりますか?

次の事業を任せられるマネジメントできる人材が入ってくると、そこの事業自体を任せられて、自分が次の新しいプロジェクトができるという感覚はありますね。

自分自身がリソースから解放されて、新しい展開に進める。サービスや雇用を通じて地域や社会に貢献できることも増えると思います。

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